地方在住者から今後地方移住を検討する人に知っておいてほしいこと
はじめに
コロナの影響で半ば強制的に在宅勤務/リモートワークを強いられたことで、今社会全体でリモートワークへの期待が高まっているようです。
かく言う私も今月も引き続き在宅勤務継続中で3か月目に突入しましたが、日に日に在宅勤務のクオリティ向上を意識するようになりました。私は在宅を今後も続けたいので意識して能率を上げて見せたいという思惑もあります。
一方、主に東京の大都市圏ではこれを機にリモートワークを継続して地方移住を真剣に検討されるケースも増えていると聞きます。私は九州は宮崎県という非常に田舎な地方に住んでおりますので、実際に地方に住んでいる身として思うことをまとめてみようかなと思います。
色々とニュースを取り上げて雑感も書きましたが、必要なことは最後のまとめに箇条書きしておきましたので、とりあえず結論だけ知りたい方は目次からまとめにジャンプしちゃってください。
私の住んでる場所
宮崎はここです。宮城県ではありません。
コロナがもたらした在宅/リモート/ノマドワークの普及
まずは最新のニュースから。
企業側がリモートワークに前向きに取り組まれている好例かと思い取り上げてみました。もはやオフィスは要らないという思い切った施策ですが、合理的に考えれば決しておかしなことではありません。
オフィスを維持するだけで固定費として賃料・光熱費・資産管理とかなりの金額を持っていかれます。オフィスを排して浮いた分の費用やランニングコストを天秤にかければ、特にサービス系の企業は議論に値する価値が見いだせるのではないでしょうか。コロナリスクだってまだまだ十分ありえますしね。
こうしてリモートワークが普及し、実際に社会全体にそれを受容出来る下地ができたのはコロナがもたらした功罪の功の部分と言えるでしょう。リモートワークでもきちんと成果を出すことが出来、会社もそれを認めてくれるような環境が整っている人であれば、地方移住への前提条件は十分整っていると言っていいと思います。
地方へ移住したいと思う人のマインド
では実態はどうなのでしょうか?地方希望者の方は増加しているんでしょうか?
こちらの記事にもあるように、元々漠然と「いつかは地元に帰ろうかなぁ」と思っていた人が今回のコロナに背中を押されて本格的に検討に入ったというのが現状のようです。
私も新卒入社時は関東の会社でした。3年ほど勤めましたが地方出身の同期もたくさんいていずれは地元に帰りたいという同期も多くいたことを覚えています。地方から多くの人を集め取り込んで大きくなっていったのが今の東京を中心とした関東圏なので、生粋の東京人という人の方がもしかすると珍しいのかもしれません。
故郷に親族や友人もたくさんおり、気持ちとしては帰りたいのは山々なんだが地元にはまともな仕事がないといった人にとってリモートワークは福音といえるでしょう。
このように元々地方移住を真剣に検討するだけの理由やマインドセットがある人は具体的な動機付けが大きいので実現しやすいかと思います。企業側も優秀な人材の地方流出を防げるメリットも大きいでしょう。
しかし、ただ何となく「コロナやべーじゃん。リモートで仕事も出来るならとりあえず地方行けばもっといい暮らしできんじゃね?」といった明確な動機付けが薄い需要まで今の地方が取り込めるかどうかについては、私は色んな課題が山積みだと思っています。
地方経済圏の実態
ちょうどNewsPicksでそれに近い内容が議論されていたので取り上げます。
動画の中でアフターコロナで地方経済圏の可能性について前向きな意見がある一方で、堀江さんは終始否定的な態度だったのが印象的でした。なぜなら彼は地方=田舎によくある閉鎖的・排他的な空気を知ってしまったからだと私は感じました。
地方都市の中でも県庁所在地(宮崎であれば宮崎市内)など「地方の中での都会」なら全然問題ないですが、例えば何となく悠々自適な生活を求めて〇〇町や〇〇村なんて辺境に行くとそこに待ち受けているのは良くも悪くも日本の古き良き農村文化です。
地域の保守的なコミュニティでは田舎特有のあたたかな歓迎を受けることも多いですが、同時に明確なよそ者が入れば排除し大きな変化を嫌う側面も持ち合わせています。
東京のようによそ者や一見さんに対してもある意味寛容というか、何も言わずそっとしておいてくれるといった対応はまだまだ地方では難しいのが実態です。普通にまだ自治会や消防団といったコミュニティが生きていますし、まだまだ地域との密な関わり合いが発生します。
コミュニティがこんな状況ですから経済圏としてもまだまだ未熟です。私の住む宮崎は地下鉄なんてありませんし、電車も単線運航。バスも少し離れれば2~3Hに1本来るかどうかなんて普通のことです。車が無ければ自由な移動は物理的に難しく、地方経済自体も車社会前提でまだまだ回っているのが現状です。
最近はAmazonやネット通販があるんでその辺でうまくやれば買い物はやれなくはないでしょうが、ずっと都会で暮らしてきた方は交通の面で自由に動けない不便さは間違いなく感じるでしょう。
娯楽施設も全くありません。テレビは民放は2つしか映りません。遊園地のようなアミューズメント施設はないし休日にイオンショッピングモールに行くと必ず知り合いと1人はすれ違うような、そんなテンションです。
上記の内容は全て、元々そこが地元で育った人間にとっては当たり前のことです。また多くの内容がその人のやる気やネットの活用次第で大体は解決します。一人で趣味やスポーツが楽しめる人なら娯楽も大丈夫です。コミュ力があれば地方でもむしろ歓迎されるでしょう。
ですが、そういった下地や素養・地方の実態への知識がない状態で「ただ何となく地方の方がいいかなー」でやってくると「こんなはずじゃなかった」になってしまう可能性があることを地方住みの1市民として伝えておきたいと思います。
田舎にくるなら知っておいてほしいことまとめ
メリット
家賃は基本的に安いです。
同じ金額出せば宮崎では相当広いところに住めます。
築年数を気にしなければ1ルームで3万円台でも快適な部屋はたくさんあります。
飯が安くてうまいです。
店を選べば500円でも腹いっぱい食えます。1,000円出せば豪華ランチです。
地域によりますが大体何でもうまいです。素材のパワーがダンチ。
お酒もうまい。飯がうますぎて太る人続出します。
人がいません。
夜19時を過ぎれば繁華街以外は大体人が居なくなります。
行列を作って1H待ちなんて現象は地方では滅多に起こりません。
コロナ?3密?元々、密なんて状況が滅多にないっす。
自然がいっぱい
溢れんばかりの緑と田んぼと畑とビニールハウスに秒で出会えます。
宮崎の場合は海も近いのでサーフィン好きなら◎。ゴルフも盛んです。
虫はあきらめろ。ともに生きよ。
デメリット
交通の便がとにかく悪い
地下鉄?そんな便利なモノが地方にあるわけないでしょう。
バスや電車ですら、時間帯次第で1時間1本くるかどうかを覚悟せよ。車あると解決。
娯楽施設がほぼない
某Dランド的な施設は一切無し。買い物はイオンかネット通販だ。
ネットやゲームで娯楽が解決する人や、スポーツ好きなら吉ですね。
どちらでもない(人による
良くも悪くも地域コミュニティは健在。
自治会や消防団といった地域コミュニティが田舎ではまだ元気です。
ご近所付き合いや地域との交流がまだまだ残ってるので苦手な人は厳しいかも。
助けられることも多いですし、コミュ力があれば温かく迎え入れてもらえます。
心配な人、自信のない人は県庁所在地など地方の中での中核都市へ住みましょう。
のんびりした時間感覚
人によりますが地方人は基本的にのほほんとしてます。時間にも基本ルーズです。
9時集合といって10時に来るなんて日常茶飯事です。あきらめましょう。
大事なこと
- 地方に住むなら自立心と自活力が何より大切です。
- 日々を何となく流されて生きてる人には絶望的に向いてません。
- 誰も流行やトレンドは教えてくれません。そもそもそんなものはない。
- ネットを駆使し、自分で足りないものを補っていける自活力がある人には超おススメです。
以上、地方住みリモートワーク3か月目のリアルな本音でした。
今回のコロナを機に地方移住を検討される方の参考になれば幸いです。