技術屋からデザイン屋になるべき時~自分の仕事の10年後を考える~
はじめに
突然ですが、私は2020年5月現在、IT系の企業に在籍しており主に社内外のテクニカルな問い合わせに回答するサポート部門にいます。社内での位置づけとしては「技術に強い人」という立ち位置にいます。社歴は9年目になりますが、現在のポジションは4年目になります。
…こう書くと「さぞかし専門技術を持った人なんだろう」と思われるかもしれませんが、率直に申し上げて私は全く専門技術者でもなんでもありません。
0からプログラムやコードが書けるわけでもないですし、アプリケーションの開発もやったことがありません。htmlやCSS、Perl、PHPのコードは多少読めますし、VM環境の構築や自社製品の知識は持ってますが、公的に認められた資格の類はほとんど所持していません。
コロナによるリモートワークの実装や、働き方そのものについての議論が世界中で起こっています。そんな私がこの先どう生きていくかを真剣に考えてみました。
私が社内で技術コースを選んだわけ
そもそもなぜ私が社内で現在のポジションを選んだのか?
サポート部隊の平社員として中途採用で入社し、進路のことを考えるようになった私の率直な欲求は以下の3つでした
- 今より給料が欲しい
- 顧客対応をこれから10年もやる気(も気力)もない
- 人間をマネジメントする仕事は気持ちがすり減りそう
1はとても素直な欲求でしたし、分かりやすいので割愛。
2は当時の私は社内外ののお客様からの技術的な問い合わせを電話やメールで対応していたのですが、5年ほど続けてきて「ずっとやる仕事じゃないな」と思っていました。
もちろんお客様の問題を解決し喜んで頂くのは大変嬉しいし大変やりがいもありました。しかし同時に、私自身のサービスマインドをすり減らしていくストレスも抱えていたし、いずれAIや機械処理で代替されるサービスになるなと思ったからです。
既に日常生活でもたくさんのものがAIや自動音声で代替されており、人間のちょっとした入力のみで後は勝手に処理をしてくれるサービスがたくさん出ています。
難しい問題になれば人の手がまだまだ必要ですが、簡単なお問い合わせや手順の決まりきった単純障害の対応に人間は要らないと思いました。
お客様の電話やメールを受けるフロント対応は、決してすぐに無くなるような変化はこないが、将来的には先細っていく仕事だろうなと思ったのです。
3については私の性格の問題でした。
部下と上司の間に挟まれてストレスをため続けているように見えるマネージャー職は、私の目には苦行にしか見えませんでした。少なくとも技術力さえ持っていれば食いっぱぐれることはないだろうと当時の私は考えていたのです。
今振り返っても、この判断はなかなか賢かったと思います。事実、社内の特定のプロダクトについては国内で私が一番情報を持っている自負があります。今の私のポジションは社内でもかなり安泰で、健康の問題が無ければ向こう5年、10年くらいはこのままやれる自信もあります。
しかし、私は思うのです。本当に、本当にそれは私に技術力があると言えるだろうか?と。そもそも技術力とは何なのか?今後私の将来を本当に保障してくれるだろうか?と。
私はもうすぐ技術に追いつけなくなることに気付いている
私が今の役職に居て明確に気付いていることがあります。
「私は近い将来、最新技術に追いつけなくなる。」
私の年齢的なモノもありますが、変化のスピードが尋常でないことも大きな理由です。
今の一番の流行りはAIとPythonかなぁと思ってますが、トレンドが移り変わっていくスピードに私が1つ1つ技術を習熟していくスピードが全く追いついていかない強い実感と危機感が今の私にはあります。
「やる気の問題」と言われる方もいるでしょうが、35歳を過ぎた方なら自身の限界を肌感として納得頂ける方も多いかと思います。まじで20台ほど頭に入らねぇっす😞
また世界のサービス実装は、中核部分だけをオリジナルで掴んでおいて、他の実装は既存の優秀なアセットやAPIを組み合わせることで既に成り立ってきています。自社の製品を見ても完全オリジナルな製品はほぼ存在しません。
その製品やプログラムがどんな仕組みで動いているのか本質を知ることは大切です。しかしもっと大切なのは「その技術を使って何ができるか」、アウトプットが大事な時代になってきたと感じずにはいられません。
趣味や自己学習としてプログラミングを勉強することには常に価値があると思いますが、仕事のコストパフォーマンスとして見た場合、いつまでも特定の技術習得にこだわっているのは非効率だと判断せざるを得ませんでした。(※個人的にはPythonやりたいし好きなんですが。
技術屋が技術に追いつけなくなった後に目指すべき場所
であれば、私はこれから何を目指すべきなのか。
「情報をデザインをする人」になるべきだと私は思いました。
ここでいうデザインとは絵をかいたり構図を決めるという日本的な意味じゃなく、本来のDesginの方ですね。色んなものを組み合わせたり、やり方や仕組みを考えて運用する設計に近い意味です。
幸いにして私は自社の製品知識や基本的な技術のノウハウは持っています。現状で「え、それ何?」という単語は少ないですし、最低限の知識は自分で調べて概要を理解するくらいはできてます。専門屋ほど詳しくはないが、それで何が出来るかは分かるわけです。
私の社内の例で行けば、製品知識や基本的な技術情報は機械がいくらでも検索すれば出力してくれますが、予期せぬバグや、特定の条件下でのみ発生するイレギュラーはまだまだ人間の手でPickupして対応していかなくてはいけません。
- 現場から上がってくる個別情報をどうやって「見える化」するか。
- どうやったら皆がいつでも最新情報にアクセスでき共有する環境を作るか。
- 専門情報から最終的に具体的なActionにどう置き換えるか。
その方法や運用の仕方を技術面から設計し形にしていくことこそ今の私にしかできない役目なのかなと。技術屋は技術に追いつけなくなったらお払い箱…ではなく、今度はそのノウハウを生かして情報のデザイン屋にならなくてはいけないという結論に至りました。
まとめ
AI+ビックデータの活用によって様々な仕事が代替されていく今の世の中で、私達に突き付けられているのは「人間にしかできないこととは何か」という問いだと思います。
今回のコロナショックは、人間がこの先仕事=経済をどう回していくのかという現実を突きつけましたが、それは同時に私達個人がこれからどう仕事の指針や将来を考えるかも同じように突き付けていると感じてます。
今の自分の仕事がこれから5年先、10年先にどんな形に変わっていくのか。そしてその時自分の居場所がどこにあるのか。これは私のようなサラリーマンだからこそキチンと考えておかないといけない重要な問題だと思います。
願わくば10年後も忙しくしていられることの幸せを願って。日々自分をUpdateしていきたいですね。